思(婚姻意思)を持って,②夫婦としての共同生活を送っていることを第 1 内縁(事実婚)の成立要件9〔島津一郎=松川正毅編〕(日本評論社,2008)27 頁)。 判例・学説で有力となった内縁準婚理論では,多様な婚姻外カップルの中で婚姻法の規定が類推適用されるべき内縁を何らかの規準で区別する必要があります。学説では,①社会的な意味で夫婦となろうとする意内縁の成立要件と捉える見解が多いです。 一方,判例は,上記の内縁の成立要件を前提としつつも,問題となっている法的効果や誰との間で問題となっているのかなどによって,内縁の成立要件を法的保護の必要性とその妥当性の見地から相対的に捉えて緩和しているといえます(二宮周平『基本法コンメンタール 親族 〔第 5 版〕』 例えば,岐阜家審昭 57.9.14 家月 36 巻 4 号 78 頁は,男性側について「婚姻意思には疑義がないではない」としながら,7 年近くの同棲生活や男性側の経営していた喫茶店等について,売上金管理や銀行取引をさせたり,店の賃借の保証人としていたことから,男性が女性を「単なる野合の相手として扱つていたのではなく,やはり事実上の妻として遇していたものと判断せざるをえない」として,両者の関係について内縁の成立を認め,財産分与を認めています。また,大阪地判平 3.8.29 家月44 巻 12 号 95 頁は,同居することなく,お互いの住まいを行き来する関係であっても,約 9 年間交際し,入院に際し看病に努めたり,夫婦として宿泊旅行やツアー旅行に出かけたりした等の諸事情から「精神的にも日常の生活においても相互に協力し合った一種の共同生活形態を形成Ⅲ 内縁・事実婚当事者の民法上の権利・義務
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