Ⅲ 内縁・事実婚当事者の民法上の権利・義務如につき大判大 8.6.11 民録 25 輯 1010 頁,再婚禁止期間違反につき大判昭 6.11.27新聞 3345 号 15 頁)。一方で,婚姻障害をもつ内縁の典型である重婚的内10していたものと認められる」として事実上の夫婦に当たると認定して,国家公務員退職手当法による退職手当の受給権を認めています。 他方で,当該関係に婚姻障害がある場合に内縁の成立が認められるのかという問題があります。大審院判例は,婚姻予約の構成ではありますが,婚姻障害があっても婚姻予約を有効として損害賠償請求を認めていました(婚姻適齢違反につき大判大 8.4.23 民録 25 輯 693 頁,在家父母の同意の欠縁関係については,かつては内縁の成立を否定して法的効果を一切認めない見解もありました。しかしながら,今日では,問題となっている法的効果,誰との間の問題か,法律婚が形骸化しているのか等に照らして,場合によっては内縁の成立を認めて法的効果を及ぼす見解が一般的です。 婚姻障害のある内縁についても一律に内縁の成立を否定するのではなく,社会的事実としての内縁を一応全て内縁として認め,法律的規律を与える際に当該内縁の性格を吟味し,各場面についてその効果を勘案するという考え方が妥当であり,現在の通説・判例の採用する立場といえます(いわゆる「相対的効果説」。我妻,200・201 頁)。
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