内縁・事実婚・同性婚の実務相談
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Ⅲ 内縁・事実婚当事者の民法上の権利・義務(臨終婚))。被扶養者)として届けている場合(Q27,Q34)なども「婚姻の意思」を認12意思と解する実質的意思説,②「婚姻届」を提出する意思と解する形式的意思説の対立がありますが,判例・通説は,実質的意思説を採用しています(前掲最二小判昭 44.10.31(偽装婚),最三小判昭 45.4.21 判時 596 号 43 頁 内縁の成立要件として「婚姻の意思」が争われた事案の裁判例をみると,「婚姻の意思」は主観的要素のみならず,客観的要素,すなわち夫婦と言い得る共同生活が一定期間続いていれば認められやすいといえます。一方で,結婚式を挙げている場合には「婚姻の意思」が推認されやすく,共同生活の期間が短くても,「内縁」「事実婚」の成立が認められる場合があります。千葉地佐倉支判昭 49.7.15 交民集 7 巻 4 号 1026 頁は,挙式後,同居生活が 2 週間程度の内縁の夫が交通事故で死亡し,妻が喪主として葬儀を行った事案であり,裁判所は内縁の成立を認め,加害者に対し,慰藉料及び扶養料侵害による損害賠償の支払を命じています。 その他の事情としては,性的関係の継続性,妊娠の有無,両名の間に子が生まれていること,生計の同一性,親族や会社関係者,友人・知人に夫又は妻として紹介していること,親族の冠婚葬祭に出席していること等の事実があれば「婚姻の意思」が認定されやすいといえましょう。 また,一方を住民票の世帯主として,他方の続柄を単なる「同居人」ではなく「妻(未届)」などとして提出している場合(Q36),勤務先の年金保険,健康保険等の社会保険において他方を「第 3 号被保険者」(=定する際の有利な事情となるでしょう。 裁判例の中には,内縁関係が長期間継続しているにもかかわらず,内縁の夫が婚姻の届出を拒んでいる事例で,諸事情を考慮して内縁関係を認定している例もあります。例えば,岐阜家審昭 57.9.14 家月 36 巻 4 号

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