内縁・事実婚の成立 Q & A1378 頁は,同居生活が約 7 年に及び,内縁の妻が夫の保証人になったり,銀行取引を担当させたりしていた事案で,内縁の妻側の「入籍(婚内縁の夫の「婚姻意思には疑義がないではない」としながら,内縁の妻を「単なる野合の相手として扱つていたのではなく,やはり事実上の妻として遇していたものと判断せざるをえない」として財産分与を認めています。⑵ 婚姻届を出さないことをあえて選んでいる場合→「非婚」を選択している場合 婚姻届を出さないことをあえて選んでいる場合,たとえ共同生活の実体があったとしても婚姻に準ずる法的保護を与えることが適切なのかどうかが問題になります。 当事者が積極的に非婚という関係を選択している以上,当事者間の関係が実質的に婚姻と同じようなものであったとしても,婚姻に準じて扱うべきではないという考え方があります。しかし,婚姻届を出さないという当事者の意思がどこにあるのかを踏まえて検討する必要があるでしょう。婚姻における夫婦の協力・扶助義務や貞操義務,婚姻の拘束力受け容れることができないがゆえに婚姻という関係を選択しないというのであれば,婚姻法を類推適用する余地はありません。 一方で,婚姻制度のうちの比較的周辺的なものが障害となって婚姻を受け容れることができない場合,典型的には夫婦同氏原則を受け容れられないために婚姻届を出さない(=法律婚を選択しない)場合には,婚姻に準ずる扱いをすることができるでしょう(窪田,141 頁)。この場合,「法律婚としての効果を拒否しているとはいえない」からです(内田,姻届)要求は相手方より拒否ないし無視され続けていたものであり」,(離婚によらなければ解消できない)など,婚姻の法律効果の基本的部分を145 頁)。
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