Ⅲ 内縁・事実婚当事者の民法上の権利・義務34〈解 説〉 婚姻中の夫婦であれば,その財産関係は,離婚の場合は財産分与,相続の場合には配偶者相続分によって清算されます。 これらの制度は,婚姻中に夫婦で獲得した財産は,夫婦の協力によるものであるという考え方に基づいています。しかし,内縁・事実婚当事者の場合には,これらの制度は直接には適用されません。 準婚理論の立場からは,形式的な違いを乗り越えて夫婦と同様の取扱いをすべきだという主張が導かれることになります。 この問題に関するリーディングケースである広島高決昭 38.6.19 高民集 16 巻 4 号 265 頁は,「夫婦間の同居,協力,扶助の義務,婚姻費用の負担,日常家事債務の連帯責任,帰属不明財産の共有推定等の婚姻の効果は,いずれも内縁についてもこれを認めてしかるべきである。けだし,これらは夫婦間の共同生活関係自体を規整するものであつて,これによつて第三者に不利益を与える虞れもないから,戸籍簿上公示された婚姻に限つてこれを認めるべき絶対の必要なく,一方内縁も事実上の夫Q4A
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