内縁・事実婚の破棄・解消(離別)Q & A35婦共同生活関係である以上,これらの法律効果を認めてその妥当な規整をはかる必要のあることは法律上の婚姻と同様であるからである。」「財産分与請求権について考えるに,財産分与の本質は第一義的には離婚の際における夫婦共同生活中の財産関係の清算であり,第二義的には離婚後の扶養及び有責配偶者から無責配偶者に対する離婚に伴う損害の賠償であると解されるが,そうだとすれば,財産分与は,婚姻の解消を契機としてなされるものではあつても,現に存した夫婦共同生活関係を最終的に規整するものともいうべく,かつこれによつて直接第三者の権利に影響を及ぼすものではないから,内縁についても,これを認めるのが相当である」としています。 ところで,内縁の夫婦に財産分与規定の類推適用を認めた裁判例の中には,内縁の成立要件のひとつとされる「婚姻意思」について疑義があるものもあります。 岐阜家審昭 57.9.14 家月 36 巻 4 号 78 頁の事案は,申立人(A 女)が水商売や風俗店で稼働していたところ,無為徒食中の相手方(B 男)と知り合い,同棲に至り,B 男は○○学院を開設し,自ら講師として指導に当たるとともにこれを経営し,その後喫茶軽食店を開店しましたが,喫茶店は内妻として申立人が専らその経営に当たり,その経理関係も掌握し,銀行取引も行うなどしていましたが,相手方の女性関係が原因で,申立人は相手方との内縁関係に絶望し,これを解消することにし,喫茶店の支配人と駆け落ちしたというものです。 内縁の成立について,裁判所は,「申立人と相手方の同棲は,婚姻届のなされていないのはもとより,婚約,結納,結婚式,結婚披露などの対外的公示行為は全くなく,正に相手方の述べるとおりずるずるべつたりと性関係に入り同棲生活を続けて行つたものであつて,その間にはつきりした結婚の約束が交わされた形跡もなく,むしろ申立人側の入籍
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