Ⅲ 内縁・事実婚当事者の民法上の権利・義務(最二小判昭 37.4.27 民集 16 巻 7 号 1247 頁)。したがって,母子関係は懐胎と92父子関係が違背しない場合には,父子関係の説明がなされたものと判断してよいとしています(最二小判昭 32.6.21 民集 11 巻 6 号 1125 頁)。 しかしながら,懐胎可能時期に他の男性との関係が存在したこと=子の父となり得る可能性を有する者が複数存在することが被告側によって明らかにされた場合には,認知請求は原則として棄却されます。その意味では「不貞の抗弁」=「多数当事者の抗弁」は,なお認められていることに留意すべきでしょう。〈解 説〉1 父子関係の成立 内縁・事実婚関係にある両親の子は,「嫡出でない子」(「非嫡出子」)となります。民法は「嫡出でない子は,その父又は母がこれを認知することができる。」(同法 779 条)と定めていますが,最高裁は「母とその非嫡出子との間の親子関係は,原則として,母の認知を俟たず,分娩の事実により当然発生する」として,母による認知を不要としています出産(分娩)という事実のみによって成立します。 一方で,父子関係の成立は,母子関係とは異なり,子が「嫡出子」かQ17A
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