内縁・事実婚・同性婚の実務相談
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社会保障と事実婚 Q & A141(遺族年金)の支給要件(①配偶者該当性,②生計維持要件)に照らして受給上)継続し,当事者双方の生活関係がそのまま固定していると認められる平成 23 年 3 月 23 日年発 0323 第 1 号によっています)。〈解 説〉1 遺族年金受給権の要件─「配偶者」要件 社会保障法でいう「配偶者」には,法律上の配偶者のみならず,内縁配偶者も含まれます(国年法 5 条 7 項,厚年法 3 条 2 項)。もっとも,法律婚と内縁配偶者(=重婚的内縁配偶者)が競合する場合には,遺族給付権者がどちらか一方に絞られることになります。 公的年金制度では,遺族給付の受給権者となる「配偶者」は当然に一人であることが前提となっているからです。2 重婚的内縁配偶者の「配偶者」要件該当性〜行政通達 従来から,行政通達(昭 55.5.16 庁保発 15 号及び同日庁保発 13 号)は,配偶者該当性(要件①)の判断によって遺族給付の帰属を決してきました。すなわち,重婚的内縁配偶者を厚生年金保険法等にいう「配偶者」として認定する場合を「届出による婚姻関係がその実体を全く失った」場合に限るとしています。具体的には,□当事者が離婚の合意に基づいて夫婦としての共同生活を廃止していると認められるが戸籍上離婚の届出をしていないとき,□一方の悪意の遺棄によって夫婦としての共同生活が行われていない場合であって,その状態が長期間(おおむね 10 年以るとき,のいずれかに該当する場合としています。 そして,「夫婦として共同生活の状態にない」といい得るためには,□当事者が住居を異にすること,□当事者間に経済的な依存関係が反復して存在していないこと,□当事者間の意思の疎通をあらわす音信・訪問等の事実が反復して存在していないこと,の全ての要件に該当することを要するとしています(現在の運用は,従前の通達をそのまま引き継いでい

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