で(第 2 章),内縁・事実婚当事者及びその間に生まれた子の民法上の法的権利・iiiはしがきトナーシップ」関係)について内縁準婚理論の適用を否定する判例や,同性カップ項)は,相続人以外の者が,被相続人に対して,無償の療養看護その他の労務を与えてきました。 対等・平等とはいいがたい内縁・事実婚当事者について,社会的・経済的に弱い立場に置かれた一方当事者(主として内縁の妻)の法的保護のために法実践が積み重ねられてきています。 他方で,婚姻の意思と共同生活の実体を欠く婚姻外カップル(いわゆる「パールについて,「内縁関係に準じた法的保護に値する利益が認められ」るとして,一方的破棄・解消について不法行為の成立を認める裁判例も登場しています。 今般の相続法改正にあたり創設された「特別の寄与」制度(改正民法 1050 条 1の提供をしたことにより,被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与をしたときに,相続開始後,相続人に対し,特別寄与料の請求をする権利を認めたものですが,請求をなしうる者は,相続人を除く「親族」とされています。この点については,「多様な家族のあり方を尊重する観点から,特別の寄与の制度その他本法の施行状況を踏まえつつ,その保護のあり方について検討すること」との附帯決議がなされています。改正法が,内縁・事実婚(同性婚)に類推適用できるのか,が今後問題になると思われます。 本書では,まず,内縁・事実婚・同性婚など多様な婚姻外カップルをめぐる問題状況について述べ(第 1 章),内縁・事実婚の法的規律の沿革を明らかにした上義務関係について,内縁準婚理論を適用して内縁・事実婚当事者やその子どもの生活保障や居住権の保障を図ってきた裁判例を中心に解説しました(第 3 章)。 さらに,婚姻外カップルの多様化に伴い,当事者が権利・義務関係を事前に規律しておく場合の具体的方法(パートナーシップ契約,任意後見契約,遺言,信託)について解説しています(第 3 章第 6)。 次に,内縁・事実婚当事者の社会保障法上の地位について,現行法令に従い詳しく解説しました。社会保険(厚生年金,健康保険等)だけでなく,世帯に着
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