内縁・事実婚・同性婚の実務相談
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小 島 妙 子はしがきiv目した制度(国民健康保険,国民年金など)についても取り上げています(第 4 章)。 さらに,租税法について解説しています(第 5 章)。内縁・事実婚当事者は,遺贈・贈与等で財産を取得したり,死亡退職金を受け取った場合,相続税の申告義務がありますが,「配偶者」の軽減措置の対象とならないばかりか,税額が 2 割加算となります。ちなみに,アメリカ連邦最高裁判所は,2013 年,ウィンザー判決(United States v. Windsor. 133 S. Ct. 2675 (2013))において,同性婚を禁じた連邦法,DOMA(Defense of Marriage Act)を違憲と判断する画期的判決を下していますが,レズビアンの同性カップルが問題とした法的不利益とは,相続税法における配偶者控除でした。日本でも,同性婚など婚姻外カップルが当事者の権利・義務を自分たちで事前に規律しようとする際,課税問題が大きな負担となっています。 婚姻障害がある内縁の典型例である重婚的内縁関係について,裁判例を中心にその法的地位について解説しました(第 6 章)。 最後に,多様化する婚姻外カップルについて,その法的保護のあり方や,近時,地方自治体に広がっている同性パートナーシップ証明制度など,同性カップルをめぐる近時の動向について述べています(第 7 章)。 日本加除出版の星野将慶さん,渡邊宏美さんは,本書の出版を強く勧めてくださり,励まし続けてくださいました。厚く御礼申し上げます。 私が所属する法律事務所の弁護士,職員の各氏(内藤千香子弁護士,井野場晴子いただきました。深く感謝します。 本書が,内縁・事実婚・同性婚などの婚姻外カップルとして生活し,結婚をめぐる法の狭間で悩みを抱えている人々や,相談に携わる人々に役立つことを心から願っています。 2019 年 11 月弁護士,保科さおり氏,鈴木莉万氏)には,原稿の作成や資料収集など多大な貢献を

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