日米親
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。2た。第1章において,憲法を通して親の権利について争われてきた判例をたどることにより,国家と家族,および国家と親と子どもの関係を検討する。ここから,親は婚姻関係にかかわりなく,未成年の子どもに対し権利と義務をもち続けるものであることを明らかにしていく。第2章以下では,両親間で争われる離婚後の子どもの監護権について取り上げる。アメリカ法にいう監護権が,日本法の親権に近いように思われる。第2章では,わが国の裁判実務でも参考にされている子どもの監護者決定基準の考え方と変遷について扱う。第3章では,1970年代後半から各州へ広がった共同監護法をみていく。その成立過程や立法,判例をたどることで,各州がどのような法制度により子どもの利益を確保していこうとしているかを知ることができる。このことは,共同親権の立法化を検討しようとしているわが国の参考になるものと思われる。第4章では離婚後の親子の交流,第5章では子どもの奪取と引渡し,第6章では養育費制度を検討する。それぞれにおいて,親と子どもとの関係に対するアメリカの法政策と司法を理解することができるであろう。アメリカ法は日本法と法体系も親権概念も異なるが,問題となっている子どもをめぐる親の争いは共通している。アメリカは法改正を通して,両親間の平等と子どもの利益を達成しようとしてきた。法改正に当たっては,社会の変化が先なのか,立法化が先なのかは常に問われることである。これに関して,家族法の特徴として,立法がもつ行為規範としての役割から,社会習俗に一定の影響を与え,これを媒介として人々の行動に影響を与えているといわれており,家族法の立法は,ルールが定立されることにより,人々の行3)動がどのように変化するかを考慮に入れなければならないという指摘があるこのことを踏まえると,新たな法制度を採り入れた国において,社会や人々の行動がどのように変わり,それが子どもの利益を達成しているのかを知ることが必要となる。その意味で,第I部からは,アメリカにおいて一定の法政策のもとで社会資源が整備され,国民の意識が変革していく変遷をみることができるであろう。特に共同監護法制が採り入れられた意義を探り,また,様々な場面でアメリカにおける子どもの利益の考え方と,それを達成しようとする手段を知ることで,わが国の司法,立法の考え方の参考にすることができると思われる。3)大村「家族法」377頁。

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