判解雇
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191数が連続14日(昭和23年11月11日基発1637号,昭和31年3月1日基発111号)を超えていても,精神科医による健康診断を実施するなどした上で,その診断結果等に応じて,必要な場合は治療を勧めた上で休職等の対応を検討する必要がある(本判決,前掲・国・気象衛星センター(懲戒免職)事件参照)。 ただし,木村恵子「精神的な不調を理由として欠勤を続けた労働者に対する諭旨退職処分が無効とされた例─日本ヒューレット・パッカード事件(最二小平成24年4月27日判決)─」(経営法曹177号31頁)は,本判決の射程に関し,本判決の事案が,対象者が休職を認めるように求める等,ルールに従った対応をとろうとしていた様子が窺われる事案であり,精神的不調が原因であっても,対象となる労働者に誠実に振る舞う様子が窺えない事案においても,同判決と同様の結論となるかは定かではないと指摘している。前掲・東京電力(諭旨解雇処分)事件では,直近約6か月間の全出勤日数の約3分の1にわたって業務上の必要性の認められない不出社を敢行し,使用者から度重なる注意・指導及びけん責処分を受けた後も業務上の必要性が認められない半日ないしそれ以上の外出行為を行ってきたという,やや異様な事案であり,メンタルヘルス不調の可能性も否定しきれないと考えるが,同事案においては,注意・指導及びけん責処分を重ねて諭旨退職処分に至り,結論として諭旨退職が有効と判断されていることは参考になる。31

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