1 総 論⑴ 解雇の意義と法律上の制約 解雇とは,雇用契約を使用者の側からの意思表示により解約することをいう。解雇は,雇用契約が無期契約の場合は労働契約法16条,有期契約の場合は同法17条に規定されているが,いずれも,「解雇は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,無効」(同法16条),「やむを得ない事由がある場合でなければ,その契約期間が満了するまでの間において,労働者を解雇することができない。」(同法17条)と,使用者の解雇権には相当の制約が課されている。本書の主要な題目は,そうした使用者の解雇権の制約の基準,考え方を,裁判例より理解,会得するところにある。付言すれば,有期契約の期間満了時に使用者の側から雇用契約の更新を拒否すること(いわゆる「雇止め」)についても,契約自由の原則からは使用者の自由に委ねられることになるのだが,これも労働契約法19条により,やはり一定の条件下ではあるが,解雇に類する制約が課されている(本書第2編参照)。⑵ 解雇の理由の類型 こうした,法律により制約を課されている使用者の解雇であるが,その解雇がなされる理由は,大別して,以下の4つに分かれるとされている(菅野和夫ほか『労働法』(弘文堂,第13版,2024)749頁以下)。㋐ 労働者の労務提供の不能や労働能力又は適格性の欠如・喪失㋑ 労働者の職場規律(企業秩序)の違反㋒ 経営上の必要性に基づく理由(いわゆる整理解雇)2労働者の労務提供の不能, 労働能力又は適格性の欠如・喪失第1章〔解雇〕 第1章 労働者の労務提供の不能,労働能力又は適格性の欠如・喪失
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