判解雇
21/38

3㋓ ユニオン・ショップ協定に基づく組合の解雇要求 本書第1編第1章は,上記㋐を取り上げるものである(なお,㋑は第1編第2章で,㋒は同第3章で取り上げる。)。⑶ 労働者の労務提供の不能や労働能力又は適格性の欠如・喪失を理由とする解雇の実務 この類型の解雇は,実務上では,主に,労働者の傷病・疾病によるものと,労働者の能力・適性によるもの,とが挙げられる。ア 労働者の傷病・疾病によるもの 労働者の労務提供の不能(全面的な不能の場合のみならず,不十分な提供の場合を含む。)が傷病・疾病を原因とする場合であっても労働者が就労不能であれば原則論としては,労働者側が雇用契約上の義務を履行できない場合にあたり,反対当事者の使用者としては,雇用契約の解除(つまりは解雇)がなし得ることとなるのであるが,多くの企業においては,私傷病休職制度が設けられており,そのような場合は,制度趣旨(休職期間における解雇猶予)からして,少なくとも,休職期間満了までは解雇は難しく,休職期間満了時においても休職前の職務に復帰できない場合に至って解雇(若しくは退職扱い)が可能となる。なお,復帰が可能なことについては,休職していた労働者側がその主張立証責任を負う(伊藤忠商事事件・東京地判平成25年1月31日労経速2185号3頁)。 もっとも,休職期間満了時に直ちに復職できない場合でも,短期間,軽作業を行えば復職可能と認められるときには,休業又は休職に至る事情,使用者の規模,業種,労働者の配置等の実情から見て,短期間の復帰準備時間を提供したり,教育的措置をとったりすることなどが信義則上求められ,こうした手段をとらずになされた解雇は無効されることがある(全日本空輸(退職強要)事件・大阪高判平成13年3月14日労判809号61頁)。また,我が国の無期雇用者の多くは,業務を限定されない社員であるが,そうした,使用者の裁量により業務変更(配転)が可能な労働者については,傷病前の業務について労務提供が完全にできないとしても,労働者の能力,経験,地位,企業の規模,業種,労働者の配置・異動の実情や難易度等に照らして,その労働者〔解雇〕 第1章 労働者の労務提供の不能,労働能力又は適格性の欠如・喪失

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る