4を配置する現実的可能性があると認められる他の業務について労務の提供をすることができる場合は,当該業務への配転を検討する必要があるとされている(片山組事件・最判平成10年4月9日労判736号15頁)イ 労働者の能力・適性の不足によるもの 労務提供の不十分さが労働者の能力・適性の不足を原因とする場合においては,問題となる労働者に期待される水準によって,解雇の判断が相当程度に異なってくる傾向がある。 まず,我が国でいまだ原則的な採用形態といえる新卒の無期雇用者については,もともと採用時に特段の能力や経験を備えていることは契約上も想定されていないことより,能力不足,成績不良の程度(本人側の事情)や,使用者からの注意指導などの改善機会の付与(使用者からの解雇回避の事情)において,相当高度なものが求められる傾向にある。例としては,3季連続して下位10パーセント未満の考課順位であった従業員についても,直ちに労働能率が著しく劣り,向上の見込みがないといえないとされた例や(セガ・エンタープライゼス事件・東京地決平成11年10月15日労判770号34頁),解雇には,単なる成績不良ではなく,企業経営や運営に現に支障・損害を生じ又は重大な損害を生じるおそれがあり,企業から排除しなければならない程度に至っていることを要するとした例もある(エース損害保険事件・東京地決平成13年8月10日労判820号74頁)。 一方,中途採用者で一定の能力・経験を有することを前提に採用された場合は,解雇が許容される場合に求められる労働者の能力・適性の不足については,前述の新卒労働者の場合よりも緩やかに判断される。例えば,職歴等に着目し人事本部長の地位を特定して採用された者に対し,高位役職者の人事部長としての能力・適性が不足していれば解雇が許容され,かつ,異なる(より低位の)職位・職種への配転等を命じる義務はなかったとした例や(フォード自動車(日本)事件・東京高判昭和59年3月30日労判437号41頁),職歴等に着目し,業務上必要な語学力,品質管理能力を備えた即戦力となる人材であるとして特定の地位・待遇で採用された者に対し,期待された能力に不足があるか否かで解雇の有効性は判断されるものであって,新卒採用と異な〔解雇〕 第1章 労働者の労務提供の不能,労働能力又は適格性の欠如・喪失
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