5り,教育を施して必要な能力を身につけるとか,適性がない場合に異なる部署に配転を検討する場合ではないとした例がある(ヒロセ電機事件・東京地判平成14年10月22日労判838号15頁)。もっとも,中途採用だからといって,常に使用者の想定(主張)する水準の能力が認められるとは限らず,社会通念上一般的に中途採用の職種限定の従業員に求められていると想定される職務能力を量的に超え又はこれと質的に異なる職務能力が求められているとまでは認められないとして,具体的な改善措置をとらずに行った解雇を無効とした例もあり(ブルームバーグ・エル・ピー事件・東京高判平成25年4月24日労経速1074号75頁),注意を要する。⑷ その他,解雇を制約する法規制 労働者の労務提供の不能や労働能力又は適格性の欠如・喪失を理由とする場合ばかりでなく,解雇一般を制約する法規制があることも注意が必要である。その主なものを挙げれば以下のとおりである。ア 解雇予告手当 解雇は,労働基準監督署長の許可を得た場合を除き,解雇の理由のいかんにかかわらず(懲戒解雇の場合であっても),解雇日の30日前までに予告をするか,平均賃金の30日分の解雇予告手当を支払うことが必要である(労基法20条)。なお,予告と予告手当の支払を併用することも可能であり,その場合は,予告手当を支払った日数分だけ,予告期間が短くなる。イ 解雇禁止 労働者が業務上の傷病(通勤災害は含まれない。)又は産前産後休業により休業する期間及びその後30日間は,打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由があり,労働基準監督署長の許可を得たとの例外にあたらない限り,解雇はできない(労基法19条)。 また,国籍,信条,社会的身分(同法3条),労働組合の組合員であること(労組法7条1号,4号),性別(雇用機会均等法6条4号),婚姻,妊娠,出産(同法9条2項,3項),障害者であること(障害者雇用促進法35条)等の差別的な理由に基づく解雇や,労働関連法規違反の申告をしたことを理由とする解雇(労基法104条2項等),育児休業・介護休業や労働局の斡旋等の法〔解雇〕 第1章 労働者の労務提供の不能,労働能力又は適格性の欠如・喪失
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