判解雇
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勝因分析・敗因分析 本件判決は,その原審(名古屋地判令和3年8月23日)と同じく,Xが治癒しているとは認めず,本件解雇を有効とした。本件では,P1医師がXについて,平成30年1月12日当時,寛解しており,原職復帰が可能であったとの意見を述べている一方,P2産業医はこれを否定しており,いずれの判断を採用するかが焦点の1つであった。この点,本件では,P2産業医も指摘しているように,Xが精神疾患により複数回休職していることに加え,本件で提出されたP1医師の診療録によれば,診察時において,「次回の面談には,推定問答集を準備(用意)して。」,Y社に提出する書面について,「こちらでたたき台を作成する!」などの面談対策を助言していること等の事実より,P1医師の情報提供依頼書及び意見書は,Xの再出勤への強い希望に過度に影響された可能性があるとの判断が下されている。 一般的に,精神疾患に対する判断は複雑であり,本件のように,医師の間でもその判断が分かれることが少なくない。そして,従業員の主治医は従業員の意に添う判断を行う傾向,可能性があることは,本件のみならず,他の裁判例でも認定,説示されているという現実もあり,企業としては,主治医の診断をそのまま通すのではなく,産業医の意見も聞くことが妥当とされている(厚生労働省「改訂 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き~メンタルヘルス対策における職場復帰支援~」2頁)。加えて,企業側として主治医の判断に疑問がある場合は,主治医からの診断書や情報提供依頼書を通して意見判断の根拠を求め,場合によっては主治医面談も求めつつ,最終的に,いずれの判断によるかを企業において決定することとなる。それでも,本件のように,本格的な係争となる場合も少なくないが,本件の場合は,診断書のみならず主治医の診療録等を通して,上記のとおり,主治医の判断の客観性への疑問が明らかにされたところであり,企業側の主張立証活動の手法として参考になるところであろう。10〔解雇〕 第1章 労働者の労務提供の不能,労働能力又は適格性の欠如・喪失

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