Q広告(改訂)
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第8章 不正競争防止法による広告表示の規制である。 被告も,原告と同様の事業を,無振動・無騒音で行うことをうたった競争事業者である。 被告は,平成29年1月から,被告ウェブサイトにおいて,被告50周年記念特設ページを掲載し,その中で原告の事業について,「この会社は平然とコピー機を製造している」,「件の会社に引き抜かれた」等の記載をした。このため,原告は,これらの記載事実は虚偽であり,これにより営業上の信用を著しく毀損されたとして,不正競争防止法旧2条1項15号(現21号)・3条に基づく被告ウェブサイトの表示の差止め及び謝罪広告の掲載並びに同法4条に基づく損害賠償の請求を行った。判 決 「原告が自らの杭打込引抜機を製作販売することが,特許権を含む被告の何らかの排他的権利を侵害すると認められるに足りる事実の主張,立証はなされていない」から,被告は,原告の製品が被告の製品をコピーしたものであるとし得るものではないので,「コピー機」との記載は,虚偽の事実に当たり,原告の営業上の信用を害する行為に当たるとした。 「引き抜かれた」との表記については,被告代表者の人事の取扱いについて不満を持つ営業担当者の多くが退職したことを指すものであり,「引き抜かれた」という表現を見た場合は,「原告が,違法,不当な手段を用いて,被告の従業員を転籍させたとの印象を抱くものと解される」。しかし,「原告が被告の従業員に対して違法・不当なはたらきかけをしたという事実も認められない」から,被告が「件の会社に引き抜かれた」と記載したことは,原告の営業上の信用を害する虚偽の事実に当たるとした。 そして,上記虚偽の事実の記載を含む掲載文の差止めを認めた。しかし,謝罪広告については,これを掲載する必要性まであるとは認められず,また,原告の損害については,具体的な主張,立証がないとした。486

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