⑵ 異議申立手続とこれに対する不服申立て手段 被害者請求手続から認定結果の通知までは、概ね2か月ほどの時間がかかります。 後遺障害等級は1級から14級まであり、被害者の労働能力が後遺障害によってどれだけ失われたかで区分されています。例えば、後遺障害等級1級であれば労働能力喪失率は100%であり、もはや就労不能状態とされますし、後遺障害等級14級であれば労働能力喪失率は5%とされています。 むち打ち症で首に痛みが残った場合には、主に「局部に神経症状を残すもの」として、後遺障害等級14級9号に該当するか否かが争点となります。もっとも、「痛み」の症状は、客観的に把握が困難であり、あくまで被害者の自覚症状に過ぎません。 自賠責損害調査事務所は、後遺障害14級9号に該当するか、後遺障害に該当しない(非該当)と判断するかについて基準を公表していませんが、事故態様、通院・治療状況、画像所見や症状の一貫性といった要素を総合的に考慮して判断していると考えられます。 自賠責保険の認定結果(後遺障害等級の結果)が納得できないものであれば、その結果に対する異議申立手続を相手方自賠責保険に対して行うことができます。異議申立手続後、自賠責保険から再度の結果が返ってくるまでは、概ね3〜4か月ほどの時間がかかります。 仮に、異議申立手続を行っても後遺障害等級の結果が覆らなかった場合、被害者がとりうる不服申立て手段は下記の2つです。 被害者は、①一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構(以下「紛争処理機構」といいます)に対する審査(調停)申立手続か、②加害者に対する損害賠償請求訴訟を提起して、裁判所に後遺障害に関する判断を仰ぐという手段をとることができます。5第1 日本の交通事故損害賠償実務の全体構造4 自賠責保険の認定結果とこれに対する不服申立て⑴ 後遺障害等級について
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