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6 ここで、①紛争処理機構に対する審査(調停)申立手続を簡単に説明します。紛争処理機構は、自賠責保険とは異なる機関であり、自賠責保険金の支払いで、請求者と自賠責保険との間で生じた紛争に対して、適確な解決を目指して公正な調停を行うとされる機関です。この紛争には、自賠責保険が示した後遺障害の等級に関する紛争も含まれています。 紛争処理機構に対する審査(調停)申立手続は、自賠責保険に提出した関係資料だけを提出することができるとされています。なお、紛争処理機構が下した調停結果に対して不服がある場合でも、異議申立てを行うことはできません。この場合、最終的には、上記②損害賠償請求訴訟の中で、後遺障害に関する判断を仰ぐこととなります。序章 日本の交通事故賠償実務って?5 損害計算・示談交渉 治療により症状が完治した場合、または納得できる後遺障害等級認定を獲得できた場合には、被害者の損害額を計算する段階に入ります。 完治した場合には、治療期間に相当する損害を計算します。この損害を「傷害部分」といい、代表的な損害項目としては、治療費、通院交通費、休業損害、通院慰謝料などがあります。 後遺障害等級認定を受けた場合には、傷害部分に加えて後遺障害に相当する損害も計算します。加える部分の損害を「後遺障害部分」といい、代表的な損害項目としては、後遺障害慰謝料及び後遺障害逸失利益があります。 それぞれ損害計算が完了したら、その後相手方任意保険に対して賠償金を請求して示談交渉を行います。示談交渉には、概ね1か月ほどの時間がかかり、示談交渉がまとまらない場合、以下の手続きを検討することになります。6 交通事故紛争処理センターの和解あっ旋手続について 相手方任意保険と示談交渉で折り合いがつかない場合、交通事故紛争処理センター(以下「同センター」といいます)の和解あっ旋手続を利用することができます。 同センターでは、自動車(原動機付自転車を含む)事故の被害者と相手方任

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