3_高齢交通
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2交通事故における治療費 1 損害賠償額算定基準39したがって、加害行為と相当因果関係が認められ、損害賠償の対象となるのは、原則として、症状固定までの治療費ということになる。症状固定後の治療費は、いわば最終の状態に対する支出であり、もはや効果が期待できないのであるから、法的には、必要性、相当性を欠き、相当因果関係が否定されるのである。ただし、症状固定後の治療費であっても、治療費の支出がなければ状態が悪化する場合、最終の状態を維持するために必要な支出であれば、必要性、相当性が認められる。また、一定期間経過後に必要である手術費、処置費なども必要性、相当性が認められ、損害賠償の対象となる。交通事故による損害と認められる治療費について、赤い本は、「必要かつ相当な実費全額」と基準化している。2)青本は、「原則として実費全額」としている3)。自賠責保険支払基準では、① 応急手当費、② 診察料、③ 入院料、④ 投薬料、手術料、処置料等、⑤ 通院費、転院費、入院費又は退院費、⑥ 看護料、⑦ 諸雑費、⑧ 柔道整復師等の費用、⑨ 義肢等の費用を「治療関係費」とするが、「必要かつ妥当な実費」を保険金等の支払基準としている。いずれも、必要性、相当性をもって、相当因果関係の判断基準としている。必要性、相当性が認められなければ、過剰診療、高額診療として、損害賠償の対象とは認められない。2) 赤い本(2020上)1頁3) 青本(2020・27訂版)1頁第1 治療費3 症状固定後の治療費2 過剰診療・高額診療

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