1第1 働き方改革時代における運送業界に求められる視点1運送業界の課題2相次ぐ重要な法改正の動き3 運送業は、BtoBという視点で見た場合、国内物流の基幹的役割を果たしており、国内の産業・経済活動の基盤となる重要な産業です。また、BtoCという視点で見ても、Amazonに代表されるECの浸透に伴い、インターネット社会の進展に応じた物流サービスは不可欠のものとなっています。このように、運送業は、運送事業者にとっても個人にとっても欠かすことができない重要な基幹産業といえます。 しかしながら、輸送産業を担う運送業界では、全産業平均と比べて、長時間労働・低賃金が常態化しており、「2割長く2割安い」職業とも指摘されています1。運送業界を取り巻く労働環境は他業種と比して厳しい状況にあることを反映し、人手不足・労働者の高齢化が加速する傾向にあります。 そして、厳しい労働環境にあることを反映し、運送業界では労働紛争が少なくありません。人手不足による長時間労働の常態化に起因する未払残業代請求や、過酷な労働環境に起因する過労死等の労働災害、採用難や離職率の高さに伴う労働契約の終了に関わるトラブル等、様々な場面に応じた労働紛争が見受けられます。 運送事業者活動のみならず個人の生活においても基幹産業といえる運送業が持続的な成長を遂げるためには、労働環境を改善するとともに労働紛争を未然に防ぎ、より多くの労働者を惹きつける魅力的な職場を築いていくことが不可欠といえます。 一方、政府は、「働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革」2として、「働き方改革」の実施を推進しています。 働き方改革は、①労働時間法制の見直しと、②雇用形態に関わらない公正解説
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