第10章 健康管理256ご相談のケースについてでき、そのような業務での復職を希望する者に対しては、使用者は現実に配置可能な業務の有無を検討する義務がある、と判断するようになっています(JR東海事件:大阪地判平成11年10月4日労判771号25頁)。 そして、休職期間が満了した労働者に対して、かかる検討をせずに軽易な業務を提供しないまま自然退職又は解雇を行った場合には、解雇権濫用として無効となります。 ご相談のケースでは、Xは傷病休職期間満了直前において、従前の業務よりも簡易な内勤業務への復職を希望していることから、会社には現実にXを配置可能な内勤業務がないか、その有無を検討する義務があるものといえます。 したがって、かかる検討をせずにXを解雇することは、解雇権の濫用として無効となる可能性があります。
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