(試し読み)家庭裁判所における監護者指定・保全の実務
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2 子の監護者指定の判断過程 43 子の従前の監護状況は,子の出生から父母の別居までの監護状況に関する事情であり,主として,育児に関して,具体的にどのような分担がされてきたのか,その理由や背景といった事情を中心とするものである。 子の現在の監護状況は,父母の別居後における子の監護状況に関する事情であり,主として,子がどのような日常生活を過ごしているのか,監護している親はいつ,どのように監護しているのか,その理由や背景といった事情を中心とするものである。子の現在の監護状況を分析・評価するに当たっては,子の個性や発達段階を踏まえ,その監護状況が適切であるか,監護の質は保たれているのか,別居前と比較して変化は生じているか,その変化が子にどのような影響を与えているかといった視点が重要である。 子の現在の監護状況は,保全事件の要件である保全の必要性の判断においては,特に重要な事情である。 父母の監護能力・監護態勢は,父母の年齢や心身の健康,性格,経済力(資産,収入,職業,住居等),監護環境(居住環境,教育環境等),子の発達,特性,心情を適切に把握し,それらに応じて適切に対応する力,子に対する愛情・監護に対する熱意の度合い,将来の監護計画の有無・内容,監護補助者の有無・その態勢等,面会交流に対する許容性等に関する事情である。 父母の監護能力・監護態勢を分析・評価するに当たっては,父母の監護能力・監護態勢が,子の個性や発達段階を踏まえて適切なものであるか,それが今後想定される子の成長や環境変化に対して,適切に対応で① 子の従前の監護状況(別居前の監護状況)② 子の現在の監護状況(別居後の監護状況)③ 父母の監護能力・監護態勢④ 子の事情① 子の従前の監護状況(別居前の監護状況)② 子の現在の監護状況(別居後の監護状況)③ 父母の監護能力・監護態勢

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