(試し読み)家庭裁判所における監護者指定・保全の実務
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82 第5章 家裁調査官による事実の調査(各論)(父)と暮らしなさいと決定したらどうか」などといった問いかけを用いて得られた子どもの言動と,生活状況や父母との関係について語られた具体的なエピソードを照らし合わせて,本件に関する意向,心情を把握していくことになる。 子の意向・心情調査の調査対象は,子,父母,保育園・小学校等の関係機関,監護補助者などである。 子の陳述を吟味するためには,父母双方からの情報聴取が欠かせないところ,多くの事案では父母の陳述だけではなく,保育園や小学校等の関係機関からの情報や祖父母等の監護補助者からの情報も重要となるため,調査対象の範囲が広くなることもある。 なお,子が15歳以上であるときや子の意向調査に先立って子の監護状況調査等が行われているなど,子との面接に必要な情報が既に得られてQ 子にどちらの親と暮らしたいのかと問うことについてはどのような点に留意すべきでしょうか。 子の意向(心情)調査は,子どもに対してどちらの親と暮らしたいのかといった二者択一的な意見を聞くための手続ではありません。しかし,多くの当事者は,調査結果にその回答を求めていることも否めません。調査を受ける子どもも年長の子になると,程度の差はあれ,そうした問いかけを予期していますし,年長の子の中には意思表明とその尊重を望む子も一定数見受けられます。 また,15歳未満であっても,ある程度年長の子の場合,子の言葉を直ちに字義どおり受け取るわけではありませんが,本件に対する意向を確認することにより適切な審理に適う事案も少なくありません。なお,その際には,子に過重な心理的な負担をかけないよう様々な工夫をしています。⑷ 調査対象と調査方法① 調査対象18

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