(試し読み)家庭裁判所における監護者指定・保全の実務
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Scene 8204 第1章 事件申立て及び保全処分の審理 審判は,申立書,答弁書,子の監護に関する陳述書など提出された書面に記載された主だった事実関係の確認を中心に進められた。 双方とも陳述は夫婦関係に関する非難,不満と反対当事者の言い分の否定に終始しがちで,別居の相当性をめぐる主張に偏りがちとなった。 草岡裁判官は,子の監護者指定の判断枠組みを示して,今後の審理で明らかにしていく必要がある事項を説明した上で,それぞれの子の監護に関する陳述書の記載内容に対する反論は次回期日までに書面で提出するよう求めた。 そして,相手方である玲奈から強く主張のあった夫婦関係の問題について,本件手続では中心的に扱うべき問題ではないと考えられる旨を伝えたところ,次回審判期日までの間に離婚調停及び婚姻費用分担調停の申立てを行う意向が示された。 また,浩一から強く主張された子どもとの面会交流については,できるだけ早期の実施が望ましいと玲奈に伝える一方で,子どもが怖がっているので実施が難しいという玲奈の主張の根拠を確認する必要がある旨を伝えた。 そして,保全処分について判断する上では,別居後の子どもの生活状況や心身の状況を正確に把握する必要がある旨を説明し,そのために「子の監護の現状調査」の調査命令を発令する旨を伝えた。そして,子の監護の現状調査の中で,子どもらが転居や現在の生活をどのように受け止めているかを確認することで,子どもらが父を怖がっているというのがどのような実情なのかも可能な範囲で調査することになる旨も説明し,調査への協力を求めた。 駒場調査官は,事前に準備していた調査計画表をもとに調査計画や調査方法について説明し,日程調整を行った。子の監護の現状調査の発令(第1回期日)

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