Q2傷害・医療保険の存在意義は何か。A経済的基盤の脆弱な人に対し,人の傷害疾病にまつわる金銭的リスク⑴ 傷害保険の存在意義 1 主要概念条項に特則が置かれている(保険法第2章第5節の傷害疾病損害保険の特則)。のカバーを提供する点に存在意義がある。農林水産業・工業に多数の者が従事し,その安全水準も低く,傷害のリスクが高かった時代であれば,傷害保険加入の重要性は高かった。当時は,医療水準が低く,社会保障制度も脆弱であったため,傷害のリスクを自助・共助でカバーする必要があったからである。しかし,現在では,労災保険・健康保険・介護保険制度など手厚い社会保障制度が存在し,公助によって傷害のリスクはかなりの程度カバーされている。また,傷害のリスクが特に高い分野に専門特化した民間保険も充実しており(自動車保険,自転車保険など),傷害保険に加入が必要な人は,そうした特化型の保険に加入すれば足りる。そのため,現在,一般的な傷害保険に加入する必要性は,それほど高くない。⑵ 医療保険の存在意義医療保険は,傷害・疾病による入院・手術に対し,例えば,入院日額2,000円,手術一時金10万円を支払う保険である。入院・手術による経済的リスクは,突然,まとまったお金が必要になることであるが,この点でも公助によるカバーが期待できる。日本に居住している者は,原則として,健康保険法,国民健康保険法,国解 説 傷害保険と医療保険とでは存在意義が微妙に異なる。2
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