9_離婚事件
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2離婚制度には,協議離婚,調停離婚,審判離婚,裁判離婚の各制度があります。このうち,協議離婚を除く制度については,平成16年4月1日施行の人事訴訟法(以下「人訴法」)で離婚訴訟の第一審裁判所を家庭裁判所とする大きな制度改正があり(人訴4条),審判及び調停については平成25年1月1日施行の家事事件手続法(以下「家事法」)で整理されて,今日に至っています。離婚訴訟の管轄が地方裁判所にあった時代は,離婚訴訟と関連する損害賠償請求(慰謝料請求訴訟など)が離婚訴訟に併合されることは一般的でしたが,管轄が家庭裁判所に移ったため,人訴法は,一定の関連損害賠償請求事件の管轄を家庭裁判所に与えています(人訴8条・17条)。本章1では,この人訴法8条の解釈についての最高裁判所の判断を解説しています。夫婦は,協議で離婚することができ(民763条),離婚合意に基づき離婚の届出(戸76条)をすることにより離婚の効力が生じます(民764条・739条)。届出は離婚の成立要件ですので(創設的届出),離婚合意後に翻意して,届出時に離婚意思が存在しないときは,離婚は無効です。とはいえ,戸籍の訂正には離婚無効確認の判決が必要(戸116条)となります。このため,翻意後に相手方のみによる届出が受理されるのを防ぐため,届出不受理申出制度が設けられています(戸27条の2第3項)。⑵調停離婚・審判離婚協議がまとまらない場合,離婚を求める配偶者は相手方の住所地の家庭裁判所に対して,まず離婚調停を申し立てなければなりません(家事244条・257条1項)。いきなり離婚訴訟を提起しても,例外的な場合を除き,職権で調停に付されてしまいます(家事257条2項本文。調停前置主義)。例外的な場合としては,相手方が心神喪失の常況にある場合や行方不明の場合等が考えられます。調停において合意が成立すれば,調書が作成され離婚が成立します。このときの届出は,報告的届出にすぎません(家事268条1項,戸116条1項)。合意成立の見込みがない場合は,調停手続は終了します(いわゆる「調停不成立」。家事272条)。このとき,例えば,わずかな意見の相違によって合意に1 人事訴訟法の制定(平成16年)2 離婚制度について⑴協議離婚

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