A長時間労働を認識していたにもかかわらず,業務量を調整するなど,Q当社の従業員がうつ病になり自殺してしまい,遺族から,長時間労 働が原因であったとして,安全配慮義務違反の責任を追及されています。 当該従業員は,担当顧客の兼ね合いで期限の短い業務ばかり行っていたため,確かに残業が多く,体調を崩す日も多かったのですが,当社としても,当該従業員に対し,折に触れて残業を控えて体調を整えるよう指示していました。それでも当社は安全配慮義務違反の責任を問われる可能性があるのでしょうか。 また,裁量労働制を採用している場合は,当該従業員の長時間労働について安全配慮義務違反の責任を回避できますか。長時間労働を改善するための具体的な対応を採っていなかった場合,安全配慮義務違反の責任を問われる可能性が高いと考えられます。 また,裁量労働制を採用していても責任を回避することはできません。 ただし,長時間労働が原因で精神疾患を発症した場合に使用者が必ず安全配慮義務違反の責任を問われるわけではありません。使用者に損害賠償責任が発生するためには,債務不履行に基づく損害賠償請求又は不法行為に基づく損害賠償請求に必要な各要件を満たす必要があります。 使用者は,労働契約に伴い,労働者がその生命,身体等の安全を確保しつ長時間労働で従業員が自殺してしまいました1 長時間労働と安全配慮義務Case12長時間労働と安全配慮義務83Case12 長時間労働と安全配慮義務
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