労判
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第3 賃 金106 原審(東京高判平成29年2月1日)は,Xに関しては確認書が作成されておらず業務手当が何時間分の時間外手当に当たるのかXに伝えられていなかったこと,また,休憩時間を管理・調査する仕組みがないため,業務手当を上回る時間外手当が発生しているかをYが確認できないことを理由に,業務手当は定額残業代には該当しないと判断しました。 これに対し,上告審では,裁判所は,以下のとおり述べて業務手当は定額残業代として有効であると判断しました。・ 雇用契約においてある手当が時間外労働等に対する対価として支払われるものとされているか否かは,雇用契約に係る契約書等の記載内容のほか,具体的事案に応じ,使用者の労働者に対する当該手当や割増賃金に関する説明の内容,労働者の実際の労働時間等の勤務状況などの事情を考慮して判断すべきである。しかし,原審が判示するような事情(定額須のものではない。・ 雇用契約書,採用条件確認書,賃金規程及びX以外の従業員との間で作成された確認書の記載からは業務手当が時間外労働等に対する対価として支払われるものと位置付けられていたということができる。また,Xに支払われた業務手当は,Xの実際の時間外労働等の状況に基づく時間外手当の額と大きく乖離するものではない。・ 業務手当は時間外労働等に対する対価として支払われるものとされていたことが認められるため,業務手当の支払をもって時間外労働等に対する賃金の支払と見ることができる。残業代が何時間分の時間外手当に当たるのか労働者に伝えられていること等)は必

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