A会社は,加害者である上司の使用者として使用者責任(民法715Q会社が主催した従業員の懇親会終了後,上司が部下を誘い2次会 を開催し,従業員Aも当該2次会に参加しました。2次会は深夜まで続き,2次会に参加していた従業員は終電を逃してしまったため,従業員らは上司から会社のタクシーチケットを受領してタクシーで帰宅しました。一方,従業員Aは上司と帰宅方向が同じであったため,上司に誘われてタクシーに同乗して帰宅したところ,従業員Aは,タクシーの中で上司から突然キスをされる等のセクシャル・ハラスメントを受けました。 従業員Aは,会社が設置した相談窓口に,上司からのセクシャル・ハラスメントを受けた旨の相談をしましたが,会社は懇親会後の2次会は私的に開催されたものであり,2次会後のトラブルは飽くまで個人間の問題であるとして,個人間での解決をするようにとの回答がなされました。 その後,従業員Aから,会社に対して,上司からセクシャル・ハラスメントを受けたことを理由として損害賠償請求がなされましたが,会社として当該請求に応ずる義務はありますか。条1項)に基づく損害賠償義務を負う可能性があります。また,会社は,被害者の使用者として,職場環境配慮義務違反を理由とする,不法行為責任(同法709条)又は債務不履行責任(同法415条)に基づく損害賠償義務を負う可能性があります。社内で行われたセクシャル・ハラスメントにより会社が責任を負うことはありますかCase19セクシャル・ハラスメントによる使用者の責任143Case19 セクシャル・ハラスメントによる使用者の責任
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