労判
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第6 出向・転籍・配転❹ ケンウッド事件(最判平成12年1月28日労判774号7頁) 夫と3歳6か月の長男と品川区に居住し,目黒区にある会社事業所に勤める労働者が,八王子市にある同社事業所への異動命令を下され,これに従わず,勤務時間や保育問題の話合いにも応じなかったところ,最終的に懲戒解雇されたため,懲戒処分の効力を論ずる前提として異動命令の有効性が争われた事案です。 裁判所は,前掲東亜ペイント事件と同様の枠組みにより異動命令の濫用の有無を判断しました。業務上の必要性については,退職予定の労働者で40歳未満という人選基準を設けていたことからこれを認め,かかる必要から出た異動命令に不当な目的・動機もないとしました。そして,通常甘受すべき程度を超える著しい不利益については,労働者が被る不利益は必ずしも小さくないものの(何が不利益に当たるのか具体的に言及はしていませなお甘受すべき程度を著しく超えるとまでは言えないとして,異動命令は権利の濫用に当たらないとしました。228(製造業務担当)の補充を早急に行う必要があること,及び製造現場経験者んが,夫も残業や出張が多いこと,保育園の送迎や自宅保育を利用していたこと,通勤時間が約50分から約1時間45分に増加し,子供の保育に支障が生ずること,異動先近辺への転居や保育園の利用は可能であったことなどが事実として認定されています。),

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