労判
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A採用時に勤務地限定の合意が成立している可能性があり,本人の個Q当社では,他部署の欠員補充のため従業員を配転させようと考えて います。しかし,当該従業員は,障害を持つ家族の介護のため転勤するわけにはいかず,採用面接の際にも会社に伝えていたと難色を示しています。このような場合に,就業規則の配転条項に基づき配転命令を下すことに問題はあるでしょうか。別的同意のない配転命令は無効とされる可能性があります。仮に勤務地限定の合意が認定できない場合でも,家族介護のため勤務地を限定することに従業員の期待があると認められ,勤務地限定の配慮を行うことが求められる可能性もあります。そのような配慮を行わない配転命令は権利濫用として無効とされるおそれがあります。 Case28□で述べたように,配転は労働契約の予定する範囲内で命じ得るものであるため,職種・勤務地について限定する合意を行っているような場合,かかる合意に反する配転命令は無効となります。 職種・勤務地限定の合意は,明示的になされる必要はなく,黙示的になされることもあります。合意が認められる限り,就業規則に配転条項があったとしても,かかる合意は特約として就業規則に優先します(労働契約法7条ただし書,8条)1。職種限定の合意又は勤務地限定の合意が認められるのはどのような場合ですか1 職種・勤務地限定の合意Case29職種限定の合意・勤務地限定の合意229Case29 職種限定の合意・勤務地限定の合意

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