労判
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第6 出向・転籍・配転ものであることを認めました。その上で裁判所は,分割契約においてA会社と上記労働者との間で締結された労働契約は除外すると定められていたとしながらも,A会社が労働者(分割される事業に主として従事していた。)に対し,①A会社との労働契約を合意解約しY会社に転籍するか,②単にAを退職するか,③①及び②のいずれにも同意せず他社での就労を希望するかの三つの選択肢しかないことを前提に進路選択を迫り,従前の労働契約がそのまま承継されるという選択肢を示さなかったことから,かかる対応は,承継会社に承継される事業に主として従事する労働者の労働契約の承継の保障という労働契約承継法の趣旨を潜脱するとして,A会社との労働契約の合意解約及びY会社と転籍の際に締結した労働契約は公序良俗に反し無効とした上,従前の労働契約がそのままY会社に承継されるとし,労働者の主張を一部認容しました(慰謝料の請求については不法行為258の成立を否定したため棄却)。

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