(paras.61‒62)。28⒝ 8条に関する14条について8条の検討において示したとおり、刑事法による保護の対象となる年齢の設定は第一義的に国が決定すべき事柄である。現在の北アイルランドの関連法規に年齢の設定はなく、現時点において、14条の問題は生じていない(para.67)。北アイルランド法は、男性間の性行為と、異性間や女性間の性行為に異なる刑事処罰を科している。しかし、その問題は北アイルランド法が男性間の性行為をいかなる状況でも処罰しうる点に吸収される。その広範かつ絶対的な特徴が8条の権利を侵害している以上、他者との差異を重ねて検討する必要はない(paras.69‒70)。⑷ 反対意見の要旨⒜ 8条について⒤ ゼキア裁判官キリスト教とイスラーム教は同性愛関係とソドミーを非難する点で一致しており、道徳は宗教に根ざすところが大きい。また、最近まで多くの文明国ではソドミーやバガリー、自然に反する行為を処罰してきた。私はキプロス出身の裁判官であり、キプロスにもソドミー処罰規定がある。北アイルランドと同じく何世紀にもわたり宗教とその道徳が根底にある地域の出身者として、ソドミー処罰規定の撤廃や改正が世間にもたらす反発や混乱を予期しうる立場にある。同性愛者の私生活を考慮する一方、自然に反する不道徳な行為に真っ向から反対する人が大多数である国においては、反対論もまた適切に考慮しなければならない。民主的社会では宗教や道徳的な信念も尊重をうけるものであり、宗教や思想的確信にもとづいて子どもを育む権利も与えられている。民主的社会は多数決原理にもとづいており、圧倒的多数の道徳を保護するための法律を維持することが軽んじられるべきではない。申立人がソドミー処罰規定によって不利益を被ると主張するのであれば、同性愛傾向の治療の可能性も議論
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