3_性国
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3判例の変遷⒝ 8条に関する14条について⒤ エヴリジェニス裁判官、ガルシア・デ・エンテリア裁判官北アイルランドでは男性間と女性間との間、また、男性間と異性間との間に取扱いの差異があり、処遇の明白な不平等がないとは言い切れない。14条を制限的に解釈すること自体、同条を無化してしまっている。ⅱ マッシャー裁判官同意年齢の差異に関する多数意見には賛成するものの、居住地(北アイルランドとそれ以外)の差異、男性間と女性間との間、または男性間と異性間との間にある差異には疑問が残る。条約上の権利侵害が申し立てられている以上、14条の実質的価値を奪うような極端な制限を加える形式で責任逃れをするべきではない。「法務官は些事を顧みない(de minimis non curat praetor)」とい法諺に鑑みれば、居住地による差異は連邦制の特徴でもあり、それ自体が差別とはいえない。男性間の性行為が他の性行為とは異なる道徳的・社会的な問題があることは明らかである。したがって、8条に関する14条の権利侵害を検討した上で、権利侵害なしと判断すべきである。ⅲ ピネロファリナー裁判官申立人は被害者とはいえず、8条に関する14条の権利も侵害されていない(理由は8条と同じ)。ソドミー処罰規定に関連する権利侵害は1953年の条約発効当初から断続的に申し立てられており、性的マイノリティと人権に関する議論の出発点となっている。❖WB対旧西ドイツ事件決定(1955)たとえば、1955年のWB対旧西ドイツ事件決定では、刑法175条に3 判例の変遷31⑴ 申立ての不受理

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