カスハラ
30/56

第1章 カスタマーハラスメントとは⑶ カスハラを行う顧客の特徴4 これには,近年,各企業を悩ませている「人手不足問題」が大きく関わっている。 すなわち人手不足問題対策のためには,「離職率を低下させること」と「一人当たりの生産性を上げること」が最重要課題であるが,各企業がカスハラ対策(不当クレーム対策)を講じることこそが,正に上記課題の解決に直結するのである。 カスハラ(不当クレーム)を行う顧客はどのような特徴を有しているのであろうか。 UAゼンセン2020年アンケートによると,迷惑行為をした客の性別は「男性」が「74.8%」であり,顧客の推定年齢は「50代以上」が「70.3%」であった。 ではなぜ「50代以上の男性」が特にカスハラを行いやすいのであろうか。 「50代以上の男性」の顧客等がよくいう言葉として,「お前(従業員)の教育のために言ってるんだ!」,「会社のことを想って言ってるんですよ!」などという言葉がある。 もしかすると,当該顧客自身は本当に会社や従業員のためになると思って,カスハラを行っているのかもしれない。 しかし,カスハラは受け手が「嫌がらせ」であると感じるか否かの問題である。 50代以上の男性によるカスハラが多いのは,パワハラやセクハラとも関係がある可能性がある。すなわち,50代以上の男性は,管理職にあることが多いが,今まではパワハラやセクハラをそれほど気にすることなく部下を指導することができた。しかし,社内においてパワハラやセクハラが禁止されたことにより,今までのような指導はできなくなった。上司が部下に気を遣う時代になったのである。その結果,行くあてのなくなったストレスが,社外においてカスハラという形で現れている可能性がある。 この点,令和2年度厚生労働省委託事業「職場のハラスメントに関する

元のページ  ../index.html#30

このブックを見る