執競
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第2 不動産の調査方法2 債権回収としての不動産強制競売の検討 1 登記情報提供サービスによる不動産調査 2設問1 強制執行前の所有不動産調査2)契約締結だけでは費用は掛からないので,勤務弁護士であっても個別に契約しておく方がよいであろう。 上記のように利用件数が少ない理由は,時間や費用が掛かるという以前に,そもそも債務者が不動産を所有していないという場合が多いことや,仮に不動産を所有していたとしても,オーバーローン・無剰余であり強制執行による換価の対象財産とならないことなどが考えられる。 しかし,ひとたび不動産の強制競売が奏功すると,巨額の債権を回収できる可能性もあり,債権者の代理人弁護士としては,その可能性について十分に検討すべきである。 以下では,不動産の強制執行を検討する際の不動産の調査方法について説明する。 債務者の不動産に関する調査方法として,債権者からの聞き取りは基本的な手法の一つである。しかし,相続事件や離婚事件では有効な手段となりえても,債権者が債務者の所有する不動産まで知っていることは稀であり,知っていても正確性に欠けることが多い。また,債務者の住民票を取得し,当該居住地の不動産登記簿謄本を取得するという方法もあり得るが,時間を要することが多い。 そこで,相談時に素早く調査する方法として,法務局の登記情報提供サービスの契約を締結しておき,登記情報を取得するという方法がある。2)依頼者との相談時に取得すれば,より詳細な打合せをすることができる。 登記情報提供サービスの利用時間は,令和4年10月1日から平日の午前8時30分から午後11時まで,土日祝日も午前8時30分から午後6時までと変更され,利便性が飛躍的に向上した。

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