第2 例外(建物が未登記の場合) 63設問5 債務名義と登記名義の異なる債務名義と登記名義が異なる不動産の強制執行第1 原 則事例1 債務名義と登記名義が異なる不動産の強制執行1)園部厚『書式 不動産執行の実務(全訂九版)』(民事法研究会,2011)19頁。1)(消防法7条,建築基準法6条)などが多い。事例1 XはYに対する債務名義を取得している。Yが未登記建物しか所有していない場合に,Xはこの未登記建物の差押えができるか。 強制競売は,債務者の責任財産を差し押さえ,換価した代金から金銭債権の回収を図る手続であるから,強制競売の対象となる不動産は債務名義上の債務者の所有に属することが原則である。 不動産の所有者は不動産登記によって公示されているため,執行裁判所は,登記の外観に従って所有者を認定し,執行手続を進める。 したがって,登記名義上の所有者が債務名義上の債務者とは異なっている不動産について,当該債務名義を用いて強制競売手続を行うことは原則として不可能である。 未登記建物について,債務者の所有に属することを証明し,かつ,保存登記に必要な資料を提出することで強制競売の申立て対象になる(民執規23条2号)。 債務者の所有に属することを証明するための文書は,公文書でも私文書でもよいが,実務的には,固定資産税の納付証明書や,建築に関する証明書不動産に対する強制執行
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