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第3 設問に対する回答 第1 債務者が相続した不動産への強制執行の可否(事例2①)設問5 債務名義と登記名義の異なる不動産に対する強制執行(B・C・D)は,どのような対抗手段をとることができるか。 保存登記に必要な資料は,建物の評価証明書,建物表題登記に必要な建物図面・各階平面図などである。 本事例では,債務者Yは未登記建物しか所有していないが,債権者Xは,当該未登記建物がYの所有であることを証明し,かつ,保存登記に必要な資料を提出すれば,これを差し押さえることが可能である。① 2012年にXはYに対する3000万円の債務名義を取得したが,Yには見るべき財産がなかったため,強制執行によって回収することができなかった。2020年になりXはYの配偶者Aが死亡したという話を聞いたため,調査を行った。その結果,Aは2018年に死亡しており,YのほかAの子3名(B・C・D)が法定相続人であったが,Aの所有する時価約5000万円の甲不動産の名義はAのままであることが判明した。 XはYに対して,甲不動産の法定相続分の持分の差押えができるか。② 上記事例において,差押えの登記をされたYや,他の相続人 債務者が相続により取得する相続財産への強制執行には,法令上,特段の制限はない。したがって,債権者としては,債務者の近親者が死亡した旨の情報を入手した場合は,債務者が相続財産を取得している可能性があると考え,更に詳しく調査を行うことを検討すべきである。具体的には,64事例21 相続財産への強制執行 相続登記がなされていない不動産に対する強制執行をする場合

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