執競
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第1 引渡命令とは1 引渡命令手続 2 申立ての要件等 ⑴ 管轄・方法203設問16 引渡命令をめぐる諸問題引渡命令による占有排除方法事例1 引渡命令による占有排除方法事例1 Xが強制競売により買い受けた建物(以下,「本件建物」という。)において,占有者Yが居住している場合,XはYの占有を排除するため,どのような手続を行えばよいか。 不動産を買い受け,代金納付をした時点で,買受人は競売不動産の所有権を取得する(民執79条)。 不動産の所有者が占有を排除する場合の手続としては,不動産の明渡訴訟を提起し,債務名義を取得した上で,強制執行に基づき当該不動産の完全な占有を回復する方法が原則である。しかしながら,訴訟提起を行い,不動産の占有を排除する場合には,占有者に対する訴状の送達を行い,口頭弁論期日を経る必要があるなど,訴訟提起から債務名義を取得するまでに相当程度の時間を要する。 そこで,民事執行法は,競売不動産上の占有者を迅速に排除できるようにするために,買受人保護手続として引渡命令手続(民執83条1項)を定めている。 引渡命令は競売の執行裁判所(不動産を売却した執行裁判所)が専属管轄権を有する(民執83条1項・44条・19条)。

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