執競
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設問16 引渡命令をめぐる諸問題2,民訴規1条1項)が,実務上は例外なく書面による申立てが行われて後記事例2参照)。2項)。申立ての方式については,書面若しくは口頭とされている(民執規15条のいる。⑵ 申立人 引渡命令の申立人としての適格を有するのは,代金納付を行った買受人又は一般承継人に限られる(特定承継や持分権に基づく引渡命令に関しては,⑶ 相手方 強制競売の執行の債務者及び買受人に対して対抗できない占有権原を有する不動産の占有者である。なお,占有者が買受人に対して対抗できる権原を有していることが事件記録上認められる場合は,発令が妨げられることになる(民執83条1項ただし書)。⑷ 申立時期 引渡命令の申立てが可能な時期は,買受人による代金納付後6か月以内である(民執83条2項)。この期限を徒過すると,引渡命令の申立てはできなくなる。ただし,明渡猶予制度(民395条1項)の適用がある占有者がいる場合には,代金納付後9か月以内が申立期限となる(民執83条 引渡命令の申立期限を徒過した場合には,所有権に基づく妨害排除請求としての明渡訴訟を提起し,判決を得た上で,別途強制執行手続を要することになるため,注意が必要である。 このように申立時期が制限されているのは,引渡命令制度が,競売にかけられた物件の買受人を保護するために,簡易な手続により明渡しを実現することを目的にした制度であるという理由による。買受後に一定期間が経過した場合には,買受人を保護するために簡易な手続による執行を認める必要がなくなるからである。⑸ 引渡命令の内容 引渡命令は,不動産の引渡しといった給付を求める内容に限られる。買い受けた土地上に建物を所有する占有者に対して建物の収去を求めるといった,作為義務を課す内容を命じることはできない。204

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