執競
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3 引渡命令の審理・発令 4 引渡命令に対する不服申立て 205事例1 引渡命令による占有排除方法(実務上は決定正本を受理した日)の翌日から,1週間以内に執行抗告(民執83条4項・10条2項)を行う必要がある。同期間は不変期間であり,当事執10条2項。提出先が抗告裁判所ではないことに注意すべきである。)。 引渡命令発令の審理は決定手続で行われ,口頭弁論は要しない。 引渡命令の申立てがあると,裁判所は申立人・相手方の審尋を行えるが,審尋を行うか否かは,原則として執行裁判所の裁量である(民執5条)。もっとも,債務者以外の占有者に対して,引渡命令を発する場合には,必ずその審尋を行わなければならないとされている(民執83条3項)。ただし,記録上引渡命令に対抗できないことが明らかである相手方に対しては,審尋を行う必要はない(民執83条3項ただし書)。 上記審尋の結果,執行裁判所は引渡命令の申立てに理由があると認めた場合には,引渡命令許可の決定を行う。引渡命令の認容決定は,申立人と相手方に対する告知によるが(民執規2条1項2号),実務上は決定正本を送達する方法により行っている。 引渡命令は,相手方に到達した翌日から起算し,1週間が経過した時点で確定する。引渡命令は確定しない限りその効力は生じない(民執83条5項)。また,執行抗告(民執83条4項)が行われた場合には,同抗告の却下若しくは棄却をもって,初めて引渡命令が確定し,効力が生じる。⑴ 執行抗告申立ての期間 引渡命令に不服がある申立人若しくは相手方は,引渡命令の告知の日者が期間内に不服申立てを行わない場合には,引渡命令に関する決定は確定する。⑵ 不服申立ての方法・管轄 不服申立ては,執行裁判所に対して抗告状を提出する方法で行う(民⑶ 執行抗告の理由 執行抗告の理由は,引渡命令の要件・手続に関する事由に限られる。 引渡命令の要件は,①買受人が代金を納付したこと,②債務者又は不

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