iはしがきはしがき(「ケ」事件),③形式的競売(「ケ」事件)があるが,本書で扱うのは主として 本書は,不動産の強制競売事件を担当することになった,弁護士,司法書士,不動産関係者,あるいは債務者の方々を対象として,簡易な事例に基づき,不動産強制競売実務について解説し,それぞれの立場からとり得る手段や対応方法をまとめたものである。 裁判所の不動産執行には,①強制競売(「ヌ」事件),②担保不動産競売①の強制競売事件である。 不動産の強制競売の事件数は,リーマンショック以降,減少傾向にあり,若手弁護士を中心に経験をしたことのない実務家も増えてきた。不動産競売は申立てから配当まで長期間を要するものの,一つ一つの手続は数週間単位の短期間で対応しなければならないことも多く,事案の全体像を早期に把握しつつ,目の前の問題に対する解決方法を短期間で検討する必要がある。 不動産の強制執行に関する書籍としては,既に裁判所や学者から多くの優れた書物が刊行されている。しかし,書籍の性質上,一般的な解説が述べられているにとどまり,それぞれの立場からどのような対応をすべきなのかという視点までは記載されていないことが多いように思われる。 当事務所は本年で20周年を迎えたが,長年にわたり不動産執行の実務に携わってきた経験を踏まえ,経験した事件を抽象化した事例を設定し,事件関係者の立場からいかなる点に留意して対応すれば良いのかなどの視点を提供するために本書を刊行することにした。 弁護士をはじめとした法律専門家は,様々な立場で代理人になることが予想されるため,不動産強制競売における当事者である,債権者・債務者・入札者等の第三者など,様々な立場からの視点を記載するように心掛けた。 令和元年の民事執行法の改正により強制執行手続が強化されたが,これらの手続が不動産強制執行に与える影響についても可能な限り言及した。また,平成30年の民法(相続法)改正,令和3年の民法・不動産登記法の改正による影響等についても,不動産強制執行にかかわる部分については記載してい
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