任財
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第1章1任意後見契約を利用する1 任意後見契約を利用する⑴ 制度の概要3将来の認知症等による判断能力の低下に備えたい、というニーズに対応する提案の一つとして任意後見制度の利用がある。我が国において急速に進展している高齢化に対応するため、平成12年に成年後見制度が導入された。成年後見制度には、任意後見と法定後見の2種類がある。法定後見は認知症等の精神上の障がいにより事理を弁識する能力が不十分な常況又は欠く常況となった者を支援する制度である(民法7条、11条、15条1項)のに対し、任意後見は判断能力が低下する前に、予め将来の支援内容を自己決定し、信頼できる人と契約をしておく制度である。任意後見契約とは、精神上の障がいにより事理を弁識する能力が不十分な状況における自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部を委託し、その委託に係る事務について代理権を付与する委任契約であって、判断能力が低下した時に家庭裁判所により任意後見監督人が選任された時からその効力を生ずる旨の定めのあるものをいう(任意後見契約に関する法律(以下「任意後見契約法」という。)2条1号)。利用者は、任意後見契約の締結により、判断能力低下後の自らの支援者と支援方法をあらかじめ定めることができ、効力発生後は任意後見監督人を通じた裁判所の監督を受けられる点に特徴がある。任意後見契約の当事者である本人は、十分に判断能力を有している必要があり、既に判断能力が低下している場合には、法定後見制度の利用を検討する。任意後見人には任意後見契約法上の欠格事由(未成年者や成年被後見人であ各業務についての詳細検討

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