任財
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意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドラインとは第1章 各業務についての詳細検討15)成年後見センター・リーガルサポート編『成年後見相談対応の実務―チェックポイントとケース・スタディ』(新日本法規出版、2014)161頁10書の記載を参考にするとよい。事前指示書に固執して本人の利益を損ねる結15)。果とならないよう注意が必要であるcolumn1成年後見制度は、高齢者や障がい者の権利擁護のための重要な手段であるにもかかわらず、利用件数は低調である。これに対処するため、成年後見制度の利用の促進に関する法律が平成28年5月13日に施行された。この法律では、①基本理念を定め、②国及び地方公共団体の責務並びにそれらの関係機関の相互連携の必要性等を示し、③基本方針その他の基本となる事項を定めている。加えて、成年後見制度利用促進会議及び成年後見制度利用促進委員会を設置すること等により、成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進することが示された。平成29年3月24日に、第一期成年後見制度利用促進基本計画が閣議決定された。この基本計画は、平成29年度から令和3年度までの5年間を対象期間として、①制度の周知、②市町村計画の策定、③利用者がメリットを実感できる制度の運用、④地域連携ネットワークづくり、⑤不正防止の徹底と利用しやすさの調和、⑥成年被後見人等の医療・介護等に係る意思決定が困難な人への支援等の検討、⑦成年被後見人等の権利制限の措置の見直し、という7つの柱からなる工程表を踏まえ、各施策の段階的・計画的な推進を図るものである。第一期成年後見制度利用促進基本計画を受けて、最高裁判所、厚生労働省、日本弁護士連合会、成年後見センター・リーガルサポート及び日本社会福祉士会は、意思決定支援ワーキング・グループを立ち上げ、意思決定支援に関する検討を行った。そして、令和2年10月30日、「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」(以下「意思決定支援ガイドライン」という。)を策定した。意思決定支援ガイドラインにおいて、意思決定支援とは、特定の行為に関し本人の判断能力に課題がある局面において、本人に必要な情報を提供

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