任財
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2提案内容1相談者の悩み・希望第1章 自宅の管理と承継についての相談122末、相談者の自宅を訪問して、買い物や家事を手伝う等している。① 最近、体力の衰えを感じているが、当面の間は、住み慣れた自宅で生活したい。② 自分の足で歩けなくなったり、認知症が出てきたときは、施設に入所したいと考えている。そのときに備え、長女が週末に来たときは、施設の見学に連れて行ってもらうなどしている。③ 施設に入所したときは、自宅は空き家になってしまうので、速やかに売却したい。認知症になってしまうと、自身では自宅を売却することはできないと聞いているので、今のうちにできることはやっておきたい。④ 年金だけでは生活費が不足する場合は、自宅の売却代金を取り崩したいと考えているが、目星を付けている施設であれば、その心配はない。⑤ 自身死亡後の財産承継については、子どもたちの話合いで決めてほしい。実際の相談においては、相談者の希望をヒアリングするだけでは足りず、相談者の財産や収支の状況、家族関係、予想される法律行為(遺産分割、保険金の請求、訴訟等)の有無、今後の人生設計等を考慮した上で、相談者にとって最適な提案を行うことになる。本事例では、相談者の希望を実現するための手法として、将来型の任意後見契約(プラン例①)と民事信託(プラン例②)の二つの制度を提案することとしているが、必ずしも二者択一の関係にあるものではなく、相談者の財産状況等によっては、両制度を利用するのが望ましい場合もあれば、いずれの制度も利用しないという選択もあり得る。

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