1法律専門家による横断的な対応に関する課題⑴ 任意後見支援業務・財産管理等委任契約支援業務① 利用促進が進まない理由と展望112)厚生労働省「『第13回 成年後見制度利用促進専門家会議(web会議)資料』(資料2−2 成年後見制度利用促進に係る取組状況等について(法務省))」https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000938658.pdf1 法律専門家による横断的な対応に関する課題と展望259任意後見制度は、平成29年に閣議決定された第一期成年後見制度利用促進基本計画においても利用促進が目標として掲げられていたが、現在においても利用は活発になっておらず、令和4年に閣議決定された第二期成年後見制度利用促進基本計画においては、優先して取り組むべき事項とされている。任意後見制度は、利用を勧められた本人が、制度内容を聞いても利用を望まないということがよくある。利用を望まない理由で多いのは、任意後見人の他に任意後見監督人の報酬が発生する点である。また、任意後見の中で利用の多い移行型任意後見が、本人の意思能力の低下があるにもかかわらず発効されないことが多いため、福祉関係者からは本人の権利擁護にならないという印象も聞かれる。法務省民事局のアンケート調査ていない任意後見契約の委任者及び受任者のうち33%が、本人の判断能力が低下した場合の任意後見監督人選任の申立てについて「しない」「たぶんしない」「分からない」と回答している。その理由は、財産管理等委任契約のままで支障を感じていない(約46%)、裁判所への申立てが負担(約27%)、任意後見監督人等の監督を受けることに抵抗がある(約21%)、任意後見監督人に誰がなるか分からない(約18%)、任意後見監督人への報酬支払に抵抗がある(約18%)(複数回答可)などであるという。任意後見制度は、適切に利用されれば本人の意思の尊重と本人保護の調和112)によると、任意後見監督人が選任され
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