任財
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1)本書では、信託の当事者が家族や親族等の身内(それらの者が所有する法人を含む。)本書のねらい■本書のねらいiiiのみで構成される類型の信託(家族信託等)も含めて、信託業法の適用を受けない信託を「民事信託」として表記することとする。そして、民事信託は、特に明記された場合を除き、契約(信託法3条1号)によるものを前提とし、平成18年信託法改正における附帯決議にうたわれた「福祉型信託(高齢者や障がい者の生活支援や福祉の向上に用いられる信託)」を中心としたものである。国民の権利を擁護する法律専門家の立場において、民事信託(特に、福祉1))・任意後見・遺言・死後事務・遺産承継等に関する各種業務が広が型信託りを見せる中、これらについての社会のニーズもまた、超高齢社会の進展とともに多様化している。このような状況においては、単一の業務のみで相談対応しようとすると、相談者のニーズを満たせない可能性が高い。例えば、当初は遺言の相談であったものの、聞き取りを進める中で遺言のみでは実現できない相談者の希望(例えば、民事信託のニーズ)が表出する場合がある。また、民事信託を希望する相談であったものの、聞き取りを進めると任意後見制度の同時利用が検討されるべき場合もある。さらに、相談者において、十分な問題整理ができていないため、法律専門家において適切な整理を行い、任意後見、民事信託、遺言や死後事務まで、横断的なメニューを相談者に提示した上で、相談者のニーズを満たしていくという場合もある。課題を抱える高齢者らからの相談における各種業務の横断的対応は、法律専門家の必須スキルと言えるものの、横断的対応について法律専門家目線で整理した書籍は少ない。本書を通じ、課題を抱える相談者に対し、横断的な視点をもって対応することの重要性を認識し、また、その手法についての理解を深めていただければ幸いである。令和5年3月吉日日本司法書士会連合会 民事信託等財産管理業務対策部

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