控訴
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第1章⑴ 最初に、この講座の進め方について説明をします。1 講義形式について1 講義形式について1 我が国の民事訴訟は処分権主義及び当事者主義を基調としていて、訴えはもとより控訴の提起も当事者の判断に委ねられ、主張立証活動も基本的には当事者の責任とされていることから、控訴審における実践について述べる以上は、訴訟代理人である弁護士の活動について多くを語ることになります。 一方、ひとたび訴訟が裁判所に係属すると、その進行については受訴裁判所の広範な裁量権のもとで審理が進められ、期日の指定、証拠申請の採否、証拠調べの実施、弁論の終結、和解勧告、判決の言渡しなどの重要な訴訟活動はいずれも裁判所が主導して行うため、それらの訴訟指揮を含めた裁判所の訴訟活動については、訴訟代理人の活動とは全く別の観点から説明をする必要があります。 したがって、控訴の提起や控訴審における主張立証、和解の準備などについては、専ら訴訟代理人である弁護士の活動の観点から、また、控訴審の審理、和解勧告のあり方や控訴審判決の起案などについては、専ら裁判官の観点からの説明となります。とはいえ、弁護士は裁判官の、裁判官は弁護士のそれぞれの準備活動とその要点(苦労する点)をよく理解した上で、自らの活動の準備と実践を企画し実行することが、共に控訴審という審理の場を共有1 講義形式について本章の本章のPOINTPOINT この章では、本書での講座の進め方についてお話をしておきます。講師である私のほかに、3人の受講生にも登場してもらいます。講座の進め方について

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